日光で出会った土産屋のおっちゃん①

英語・国語科の鈴木です。


さて、時を遡ること3ヵ月、社員旅行で日光へ行きました。
今回はそのときに遭遇した少しおもしろい出来事について
話そうと思います。


2日目のメイン・イベントであった日光東照宮の参拝を
終えたあと、僕はひとりで境内をぶらついていました。
予報ではその日の天気は雨となっていたものの、日光の空は
どうにかこうにか土俵際で踏ん張っているという感じで、
曇りの状態を維持しており、せっかく買った500円のビニール傘
になかなか出番を与えてくれそうにありませんでした。


出番のない傘を買ってしまったことについて、126個目の
愚痴をつぶやいたとき、ふととある土産屋のレジ・カウンター
に貼ってあった「日光サ○ダー200円」という手書きの紙に
目がとまりました。


なかなか下手くそな字だったのです。
何と書いてあるのか一目では分からず、足を止めてじっと
貼り紙の文字を見ていると、店の奥から人の良さそうな
太めのおっちゃんが出てきて、「いっらっしゃい」と
僕に声をかけました。
その声からもまた人の良さがにじみ出ており、僕の心は
一瞬にして警戒を解かれました。


「こんにちは」と僕が挨拶すると、「え?」とおっちゃんが
訊きかえしてきたので、僕はもう一度「こんにちは」と
言わなければなりませんでした。


「何でも買ってってよ」とおっちゃん。
のほほんとしていて、商売する気がない感じ。


「これは何ですか?」と僕は特に興味があるわけでもないのに、
「日光サ○ダー」の貼り紙を指さして質問しました。
おっちゃんは「どれ?」と訊きかえし、僕はまた同じことを
言いました。もう完全に相手のおっちゃんのペースです。


「これは日光サ○ダーだわ」とおっちゃんは、貼り紙を
読めばわかることを説明しました。
「売れているんですか?」と僕。
「うん、売れてるよ。」とおっちゃん。
「これはね、日光の水を使ってできてるの。
だから売れるんだわ。すごく売れるよ」
「へえ」と僕。


地元の水を使っただけでサイダーが売れるなんて、そんな話が
あるもんか、と内心ではまったく信じていませんでした。


「三○矢サイダーじゃ駄目なんだわ。あれは日光の水を
使ってないからここじゃ売れないの」
とおっちゃん。


なんとローカル・サイダーをもってして、誰もが知る
全国区サイダーを「駄目」の一言でぶった切るという
ビッグ・マウスぶりを披露したのです。


日光で出会った土産屋のおっちゃん②に続きます